No.100
***フランネル***
インスタグラムでは「フラノ スーツ」ともうしあげましたが、この「フラノ」は和製英語で、正式には「フランネル」と呼びます。
この「フランネル」は、写真のように表面がふんわりと柔らかく起毛した軽く暖かい生地で、秋冬に万能な素材です。
「あのふんわりした質感はどのようにして織られているのだろう?」と思って調べてみますと、織物の専門用語だらけでしたが、次のような工程でつくられていました。
1. 羊の毛でつくった糸を平織や斜文織にする。
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2. 縮絨(しゅくじゅう)…生地に熱や水分を加え、振動を与えゆがみやシワをとる。フェルトのようになる。
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3. 起毛(きもう)…生地の表面の繊維をひっかき、毛羽だたせる。
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4. 剪毛(せんもう)…表面の毛羽だちの長さを切ってそろえる。
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5. 圧絨(あつじゅう)…織物の組織をローラーで押し、毛羽立ちを伏せツヤをだす。
ざっくりもうしあげますと
羊の毛でつくった糸で毛織物を織り、それを縮ませ、ひっかいて毛羽立たせ、切りそろえプレスしてツヤを出すという過程を経て
「フランネル」はあの柔らかさと軽さとツヤを生み出しているのです。
生地の出来上がるしくみを知ると、余計に生地に対する愛情が沸いてまいりますね。
「フランネル」は、18世紀頃の英国ウェールズ地方発祥で、主にウール(羊毛)で作られた軽く柔らかい毛織物のことを指していたそうです。当初、フランネルは肌に直接触れる貴婦人用の素材としてつくられていました。
この時使われていた羊毛は、紡毛(ぼうもう)でした。
紡毛(ぼうもう)とは、短い羊の毛をつむぎ、糸にしたもので繊維が不均一でいろいろな方向をむいています。厚手でふくらみがあり温かみがあります。しかし、柔らかさには欠けるので先ほどのような工程でやわらかタッチに仕上げていたのでしょう。
その後、スポーツウェア(テニス、クリケット等)に使用されるようになり、「スポーツ フランネル」などの名を持つコシのある生地もつくられるようになりました。
現在では梳毛(そもう)と呼ばれる、比較的長い羊の毛をクシでといて均一いし、一定方向を向いており光沢がある糸で織ったものも、縮絨・起毛・剪毛・圧絨を経て、「ウーステッド・フランネル」と呼び、
紡毛(ぼうもう)のものを「ウーレン・フランネル」と呼んでいます。
いや~生地って本当に面白いですね。