No.113
***ストレッチ 繊維のおはなし***
前回、ストレッチの要因は
□ 織り方
□ 編み方
□ 伸縮性に優れた繊維の仕様
の三つというお話をさせていただきました。
この中で劇的に進化し続けておりますのが
「伸縮性に優れた繊維」なのでございます。
ちょっとマニアックにはなりますが
これらは大きく分けると3種類になります。
1. ポリウレタン繊維
2. PTT繊維
3. サイドバイサイド型複合繊維
それぞれの特徴をサクッと見てまいりますと
1. ポリウレタン繊維
ゴムのような性質を持つ繊維で、生地にほんの数パーセント使用するだけでストレッチ性が生まれます。
日本では「ポリウレタン」と表記され、旭化成の「ロイカ」、東レ・オペロンテックスの「ライクラ」などがあります。ヨーロッパではイラステイン(elastane)、アメリカではスパンデックス(Spandex)
と表記されています。
◎ 柔らかく風合いがよい
◎ キックバック(元にもどる力)がよい。
◎ 軽い
◎ シワができにくい
▼ 経年劣化がある
2.PTT繊維(ポリトリメチレンテレフタレート繊維)
これは1990年代から開発が進んでいる比較的新しいポリエステル系繊維です。バネのような分子構造をもつためストレッチ性があります。帝人の「ソロテックス」や東レ「ライクラT-400」などに、このPTT繊維が使用されています。
◎ 伸縮性に優れている
◎ 形状安定性にすぐれている(洗濯によるサイズ変化がおきにくい)
◎ 紫外線に強い
◎ 一般的染色の温度(110~120℃)より低い温度(98℃)で染まる
3.サイドバイサイド型複合繊維
熱収縮率の違う2種類の樹脂を複合させた繊維の事で、収縮率の違いによってらせんを生みストレッチ性が生じます。ユニチカトレーディングの「Z-10」、クラレトレーディングの「ビューフィット」がそれらにあたります。
ストレッチの驚くほどの伸縮性は
これらの化学繊維の研究開発の成果なのだなぁとつくづく思います。
かわらぬ天然素材の良さ
進化し続ける化学繊維の良さ
それぞれの強みと弱点をしっかりと学びながら
お客様の求められるスーツをご提案していこうと
改めて強く思うTAROO.なのでございます。