No.123
***モヘアって涼しいの?暖かいの?***
モヘアといいますと我々オーダースーツ屋が頭に浮かぶのは
「春夏の涼しい素材」ですが、
女性のカーディガンやセーターでも人気があるので
「あっ、あのふわふわとした暖かいセーターなんかの?」
とおっしゃる方もいらっしゃいます。
「えっ?じゃあ モヘアって涼しいの?暖かいの?」と
不思議に思われる方もいらっしゃるでしょう。
そもそも、モヘアって何??
そこで問題です。
Q1.モヘアとは何の毛でしょう?
① ウサギ
② ロバ
③ ヤギ
答えは、③のヤギです。
ヤギの中でもアンゴラヤギと呼ばれるヤギです。
この毛の特徴は
① 通気性がいい
② シルクのような光沢がある
③ 染色しやすい
④ 耐久性がある
⑤ 燃えにくい
などです。
アンゴラヤギの毛は直毛で、表面が滑らかなので、
他の動物の毛、羊(ウール)やカシミヤ、アルパカと比べると
それほど多く空気を含まず、保温性は低くなります。
また、繊維も他の動物の毛より太くて固いので
肌に当たってもぺったりせずシャリシャリしています。
ですから
スーツでは、基本的には春夏向けの涼しい素材と言えます。
しかし、糸の紡ぎ方や生地の織り方で保温性を補う事ができます。
起毛させてたくさん空気を含ませたり
ニットにしたりすれば
暖かい繊維となります。
動物の毛の中では通気性が優れているけれど
植物性の繊維やアクリルなどの化学繊維に比べると
保温性は高い、それがモヘアなのです。
日本の気候は温暖湿潤気候で、
特に6月から9月の湿度による不快な日(露点が18℃を超える)は
平均20日ほどになります。
そんなジメジメした日々には
モヘア混スーツは大きな味方です。
もちろん洋服づくりにかかわる者として
ラグジュアリーブランドにファーフリーの思想が広がり続けているのも
強く感じております。
スーツ、ジャケット、パンツといった
洋服づくりに天然素材の良さも感じつつ
新しい機能性繊維にも
どんどん挑戦していきたいと思うTAROO.なのでございます。