2021.09.04オーダースーツの歴史
ラウンジジャケット①
さて、前回はスーツスタイルの原型のお話をしました。
15世紀、16世紀と貴族の男性のファッションはきらびやかで贅をつくしておりました。しかし、英国のチャールズ2世「衣服改革宣言」により服装の簡素化が奨励され、「コート(上着)+ズボン+ベスト+シャツ+タイ」というスリーピーススタイルが登場しました。
18世紀半ばから、英国では産業革命が起き、経済が発展しました。フランス革命のころには貴族が愛用していたブリッチェス(半ズボン)に変わり市民が履いていたトラウザーズ(スラックスや長ズボン)が流行しました。それと同時にフランスは革命で衰退し、メンズファッションの中心はパリからロンドンへと変わって行きました。
19世紀に入るとトラウザーズはすっかり定着しました。当時はコート(上着)、ベスト、トラウザーズ(長ズボン)を異なる生地で作るのが主流になっていました。
暇をもてあましていた貴族たちは、朝は散歩し、それから乗馬、お茶の時間、夜はディナーします。そのたびに着替えをするので、一日の着替えは4回以上になるそうです。当時の貴族は何度も着替えをしていました。
特に大事なのはディナーの時の服で、男性はテールコート(燕尾服)、女性はイブニングドレスを着用していました。ディナーは現代とは違い、物静かにというようり堅苦しい中でとられます。下品な会話やワイン以外の強いお酒、たばこもタブーでした。
そんな緊張のディナーが終わると、やっと男性と女性はディナー後には別々の部屋へと分かれていきます。男性はラウンジルーム(スモーキングルーム)で強いお酒やたばこをのみ、くつろぎます。女性はシッティングルームでお茶とおしゃべりをするのです。こうしてお互い同性で積もる話を楽しんだのです。
このとき男性がゆったりくつろげるように燕尾服のタイトなシルエットをゆったりと座りやすいようにテールをカットし、ラウンジルームでは着丈の短い簡単なジャケットにしようという事になりました。これをラウンジジャケットと呼び現代のスーツの始まりとなりました。